いつもみたいに部屋に帰って

いつもみたいにお風呂を沸かして

いつもみたいにご飯を作って

(だけど心の中は、こんなにも不安でいっぱい)

いつか

いつもみたいに、玄関のドアが開いて
、てめぇ!」

(ほら、きた)
「てめぇ、勝手に目撃者の店に行ったな?」
「知らない」

素知らぬ顔で短く答えたものの、内心は心臓がばくばく。そんなあたしの心を見透かしたように、ふんと鼻を鳴らしてずんずん近付いてくる、彼。

「しらばっくれたって分かってんだよ。若い女が水曜のこと聞きにきたって」
「……知らない。それ、あたしじゃない」
「だぁぁぁっ!勝手なことするなって言っただろ!そんなに俺たちが信用できねーのかよ!」
「……ちがうよ。そうじゃ、なくて」

たまらなくなって、頑なに俯いていた顔を上げ、涙をこらえて喉の奥から声を絞り出す。そんなあたしの顔を見て、彼もまた、思わず口を噤んで目を細める。

「あたしだって……知りたいの。あたしだって……あの人、あんな目に遭わせた犯人……」

考えただけで、思い返すだけで。あの人の無念が、身体の奥底を熱く焦がすのよ。
彼は深々と息を吐いて、しばらく整えていないその黒い髪を無造作に掻いた。

「……分かってるよ。んなことは、分かってる」

でも、な。そう言って彼は、何かを振り払うようにぱっと頭から手を離した。ただ真っ直ぐに、こちらの目を見下ろして、呟く。

「それは俺たちの仕事だ。下手にお前が手を突っ込んで……もしものことがあったら、どうする」

彼の瞳が、悲痛に揺らいで。あたしの胸に、届く。

「頼むから、二度と妙な真似はしないでくれ」
「……ごめん、なさい」

そっと瞼を伏せて、囁きながら。縋るように、彼の大きな胸に身を預ける。
今度は小さなため息を、ひとつだけついて。

「分かればいーんだよ」

そしてそのしっかりとした腕で、あたしの痛みを溶かすように。きつく、きつく抱き締めてくれた。

大好きな、あの匂いと一緒に。

My trigger in your hands
10minutes+ (08.04.12)
という夢を見ました!いえこれはほんとに!