「どうした?鑑識のお譲ちゃん」
仕事の帰り道、ぼーっとしてたら声をかけられた。
振り向くと・・・捜査一課の三浦刑事が居た。
「三浦刑事・・・」
「仕事が終わったんだから、『刑事』は無しにしようや」
そう言って、三浦さんは笑った。
「夕日に見とれてたんです」
は、そう言って真っ赤な夕日を指差した。
「へぇ、ほんとに、見とれるくらい綺麗だな」
ビルの合間を縫って、あたりを真っ赤に染め上げていく夕暮れが美しかった。
なんだか幻想的。
「なんだか・・・怖いくらい綺麗ですよね」
夕日に見とれているの横顔も、ほんのり赤く染めあげられてゆく。
その横顔に見とれながら、三浦は聞いた。
「怖いくらいって・・・なんだい。なんかあったの?」
「いえ・・・別に。ただ、物悲しいような・・・寂しいような気分になるからでしょうか」
「寂しい気分にねぇ・・・」
三浦がつぶやきながら首をひねる。
___夕暮れって嫌い。必要以上に寂しい気持ちになるから
はため息をついて、「気にしないで下さい」と手を振ってみせた。
しきりに首を傾げていた三浦だが、ポンと手を叩いた。
「そうだな。___早く帰りたい、そういう気分になるな」
やっと納得いったように老眼鏡の奥の目が笑う。
「ふふふ・・・三浦さんらしい、かな。早く家族の待つ家に帰りたいですよね」
「笑うなよ。俺らしいってどんなだよ・・・ちゃんは、早く帰りたくないの?」
「私は、帰っても一人ですから。別に」
夕日に染まるその笑顔が、寂しそうにみえたから、思わず三浦は食事に誘ってしまった。
「晩飯でも食いに行くか?いつもお譲ちゃんはがんばってるし、今日は奢るよ」
「でも・・・」
「あっと・・・彼氏と約束があるかな」
三浦のその一言に、はそっぽむいて「そんな約束ありませんっ!!」と言う。
「なんだ。・・・喧嘩したの?」
「・・・・・」
「・・・図星か」
さらにそっぽむこうとするが、なんだか可愛くって、その華奢な肩をポンポンと慰めるようにたたく。
「まぁまぁ、おじさんが愚痴聞いてやるから・・・な」
「・・・こんな小娘の愚痴でもいいんですか?」
「小娘って・・・まぁ、娘だと思って聞いてやるよ」
しょうがねぇなぁ・・・と思わずずり落ちた老眼鏡をかけなおして、優しく言う。
「じゃ、私お腹いっぱい食べますからね。そしていっぱいいっぱい愚痴っちゃいますからね」
「あぁ、はいはい。しょうがねぇ、だなぁ・・・ただし安い店にしてくれよ」
力いっぱいお腹一杯食べると意気込むに、財布の中身を思い出す。
「そんなの関係ないもんね」
あはは、と笑いながら、腕に手を回すに、三浦は驚く。
「おいおい。腕組むのはやりすぎだろ」
「えー。仲いい親子なら腕も組みますよ。私、三浦さんがお父さんなら腕組みたいな〜」
「俺は照れるよ。娘と腕くむなんて・・・」
の腕を振りほどこうとする三浦は心持ち、顔が赤い。
「それに・・・彼氏に悪いだろ」
「そんなの・・・それこそ関係ないもん」
泣きそうな顔になったに三浦は慌てる。
「いや、ちょっと今のは余計だったな。
うん、ま、今日は彼氏のことは忘れて憂さ晴らしだ。な?」
「・・・そうですよ!・・・それに、あの真っ赤な夕日が沈むころには黄昏時ですよ。
誰が誰を連れて歩いてるなんて誰も気にしません!」
「・・・そういうもんかぁ?」
「そういうもんです!!」
「ま、そういうことにしとくか。
ところで・・・今はもう夕日を見て寂しいとか思わないのか?」
三浦がはじめに声をかけたときのの表情を気にして問いかける。
「ええ・・・寂しくなったら、三浦さんが居るってわかったから・・・平気です!」
無邪気に笑うになんだか照れてしまう。
「あれ?三浦さん、顔赤くないですか?」
の指摘に、「うるさい。夕日のせいだよ」と今度は三浦がそっぽむく。
「はいはい・・・」
____夕日はもう、沈むところだけどね。
そう思いつつ、今日はお父さんみたいな三浦に甘える。
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Delightful Holiday!という相棒ドリーム企画へ参加作品。
このような素敵企画に三浦刑事夢で初参加させていただきました。どきどき・・・
これからもどんどん相棒が面白いドラマであるよう応援していきたいと思います。
そんでもって素敵企画も盛り上げていきましょう^^
では、読んでくれてありがとうです。
(2008.10.22 みいみい)
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